
俺も味の素とってるから、たんぱく質とれてるわ〜

それ、間違いではないんです。でも桁が違います。今日はそこを、数字で見せます。
これは、僕がグルタミンを飲んでいる理由を記事にしたとき、それを読んだ友達から実際に返ってきた一言です。味の素とグルタミンは同じものだと思っている人が、けっこういるんだな、と気づきました。だから記事にします。味の素の中身=グルタミン酸ナトリウムと、サプリのグルタミン。名前はそっくりですが、別のものです。僕は元・味の素の社員(担当は油の工場)なので、そのあたりも正直に書きます。
・味の素とグルタミンは何が違うのか(1文字違いの別物)
・「味の素でたんぱく質がとれる」はどこまで本当か(卵1個ぶんで塩分がどうなるか)
・味の素で筋肉はつくのか
・味の素は体に悪いのか(元社員として正直に)
味の素の中身は何? グルタミン酸ナトリウムという調味料
まず、友達の言っていることは理屈だけ見れば成立しています。味の素の中身はグルタミン酸ナトリウム。これはアミノ酸にナトリウム(塩)をくっつけたもので、アミノ酸はたんぱく質の材料です。だから「たんぱく質をとった」と言えなくはない。
ズレているのは2つだけです。①グルタミン酸ナトリウムとグルタミンは、別のもの。②量が、桁で違う。順番に見ていきます。
・グルタミン酸ナトリウム=味の素の中身
・グルタミン=サプリの方
この2つが別物、というのが今日の話です。
味の素とグルタミンの違いは? どっちもアミノ酸だが別の種類
アミノ酸は全部で20種類。味の素の中身も、グルタミンも、その20種類の中の”別々の1個”です。兄弟みたいな名前ですが、リストの中では別枠。だから買う場所も違います。
・うま味の成分
・昆布・トマト・チーズに多い
・調味料の棚で売っている
・無味・無臭
・体で一番多いアミノ酸
・サプリの棚で売っている
グルタミン酸とグルタミンは何が違う? 窒素が1個ついているかだけ
とはいえ、まったく無関係でもありません。グルタミン酸ナトリウムからナトリウム(塩)を外した本体——これがグルタミン酸です。そこに窒素(アンモニア)を1個くっつけた形が、グルタミン。
(味の素) - ナトリウム → グルタミン酸
(本体) + 窒素1個 → グルタミン
(サプリ)
だから親戚ではある。でも「同じ」ではない。
面白いのは、この窒素1個で、味まで変わるところです。グルタミン酸ナトリウムはあの強いうま味。グルタミンは、まったくの無味。舌の上では、完全に別人です。
「味の素でたんぱく質がとれる」はどこまで本当? 卵1個ぶんで塩分1/3
ここが本題です。友達の理屈が崩れるのは、成分ではなく量のところ。
味の素の一振りは、グルタミン酸ナトリウムで0.5gくらい。うち、アミノ酸として数えられるのは0.4gほど(残りはナトリウム=塩の部分)。一方、僕がプロテインに混ぜているグルタミンは1回5g。まず10倍以上の差があります。
食塩の1日の目標は、だいたい7g前後。つまり卵1個ぶんのたんぱく質を味の素でとるだけで、1日の塩分の3分の1が飛びます。
1日60gとろうとしたら、味の素は150g=大きい瓶ほぼ1本。塩分は食塩相当で40gを超えます。たんぱく質より先に、体が終わります。
これが答えです。「とれてる」は正しいけど、”とれてる量”が誤差。味の素は、たんぱく質を数える対象ではありません。
食べたグルタミン酸はどこへ行く? ほとんど腸で使われる
仮に量が入ったとしても、もう一つあります。グルタミン酸は、腸の細胞の主なエネルギー源です。口から入った分は、大半がそこで使われます。
これは悪い話ではありません。腸がちゃんと使ってくれている、いい話です。ただ「筋肉のためのたんぱく質」として数えるのとは、行き先が違う。味の素は料理をおいしくする道具、グルタミンは栄養を足す道具。役割で分けるのが、いちばんスッキリします。
味の素で筋肉はつく? つきません(グルタミンでも増えません)

じゃあ実際、筋肉つくの?
友達からもう一つ聞かれました。正直に答えます。味の素で筋肉はつきません。そして——ここは誤解されたくないのですが——グルタミンでも、筋肉は増えません。僕がグルタミンを飲んでいるのは、筋肉のためではないんです。
飲んでいる理由は2つ。プロテインを10gしか飲めない僕が、お腹を下さずにたんぱく質を足すためと、疲労で体調を崩しやすい時期の保険。そこだけです(前回の記事にも、そう書きました)。
筋肉がつくかどうかは、アミノ酸を1種類だけ足したかどうかでは決まりません。決めるのは、トレーニングの刺激と、1日のたんぱく質の合計、そして睡眠。単体のアミノ酸は、その足りない隙間を埋める役です。主役の代わりにはなりません。
・体を動かして、刺激を入れること(これが一番)
・1日のたんぱく質の合計(ごはん・肉・魚・卵・大豆の総量)
・寝ること
味の素が筋肉に貢献する道が、1つだけある
それは成分ではなく——おいしくなって、ごはんが食べられるようになることです。
食が細い人、疲れて食欲がない人にとって、「食べられる」は栄養そのものです。うま味で野菜やスープが進むなら、それは味の素が筋肉の役に立っている。遠回りですが、本気でそう思っています。
味の素は体に悪い? 元・味の素社員として正直な話
ここは僕の立場を先に言っておきます。僕は味の素にいましたが、担当は「油の工場」。うま味調味料のラインを作っていた人間ではありません。だから、中の人だからこその暴露話は持っていません。
そのうえで、中を見てきた側として言えることは。うま味調味料は、サトウキビなどの糖蜜を発酵させて作ります。お酒や味噌と同じ、発酵の技術です。「石油から作っている」というのは、かなり古い時代の話が独り歩きしたものです。
「体に悪い」の代表格である中華料理店症候群も、その後の二重盲検の試験では再現できていません(大量に一気にとった場合、人によって症状の報告はあります)。ただ、普通の料理の量で怖がるものではない、というのが今の見方です。
味の素の塩分はどれくらい? ナトリウムは食塩の約1/3
ナトリウム12%
もちろん入れすぎれば味も塩分も過剰になります。「悪魔でも魔法でもなく、ただの調味料」くらいの距離感が、いちばん正確です。
結局どっちを買えばいい? 料理は味の素、栄養はグルタミン
・味の素(グルタミン酸ナトリウム)=おいしくするため。むしろ減塩の助けになる。スーパーで数百円。これはサプリではありません。
・グルタミン=栄養を足すため。無味なのでプロテインに混ぜられる。全員に必要なものではなく、プロテインが合わない人・体調を崩しやすい人の一手です。
※アフィリエイトリンクを含みます。紹介は筆者の判断によるもので、報酬の有無で内容は変えていません。味の素は普通にスーパーで買えるので、リンクは貼りません。
おまけ|うま味は、日本人が見つけた味
最後に豆知識を。うま味は、1908年に日本の化学者が昆布から見つけた味です。甘い・塩っぱい・酸っぱい・苦いに続く5番目の味として、今では世界共通で「UMAMI」と呼ばれています。
その正体が、グルタミン酸。昆布だし=天然のグルタミン酸です。トマトにも、チーズにも、母乳にも入っています。味の素は、それをナトリウムとくっつけて粉にしたもの——つまりグルタミン酸ナトリウム。体は、食品から来たグルタミン酸と、粉から来たグルタミン酸を区別しません。
だしを取るのも、味の素を振るのも、やっていることは同じ。——そう考えると、ちょっと肩の力が抜けませんか。
【今日の結論】
・味の素の中身=グルタミン酸ナトリウム。サプリのグルタミンとは別のもの(違いは窒素1個)
・「味の素でたんぱく質」は間違いではないが量が誤差。卵1個ぶんで食塩相当2.4g=1日の塩分の1/3
・味の素でもグルタミンでも、筋肉は増えない。決めるのは刺激・1日の合計・睡眠
・味の素は怖いものではない(発酵で作る/ナトリウムは食塩の約1/3で減塩の味方)
・グルタミンを飲んでいる理由 → プロテインが10gしか飲めない僕が、グルタミンを飲む理由
・アミノ酸の全体像から知りたい方 → タンパク質とアミノ酸の違いは?アミノ酸スコアの話
・元・味の素として油の話も書きました → 本当に良い油の選び方
名前ではなく、仕組みで考える
「名前が似ているから同じ」ではなく、「何が何個ついていて、どれだけの量が入るのか」。一段掘ると、広告にも噂にも振り回されずに自分で判断できます。これが「運動的IQ」です。そして筋肉は、調味料でもサプリでもなく、体を動かした分だけついていきます。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、機械やサプリに頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
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※この記事は一般的な栄養・食品の考え方と、筆者個人の体験・感想をまとめたものです。数値(一振りの重さ・ナトリウム量・食塩相当)は概算で、製品や計り方により異なります。効果や体感には個人差があります。持病・アレルギー・治療中の方、塩分制限のある方は、必ず主治医の指示に従ってください。

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