ヒップリフトをやっても、お尻に効いている感じがしない。もも裏ばかり疲れる。やっていると腰が痛くなる——そんな人へ。じつはヒップリフトは「お尻を上げる種目」ではなく、骨盤の後傾を作る練習です。効かない人は、フォームが雑なのではなく、順番が入れ替わっているだけかもしれません。元々は大学で腰の骨の骨折予防(脊椎の応力解析)を研究していた立場から、体を「筋肉」ではなく「力の流れ」で正直に解説します。名前は覚えなくて大丈夫です。
ヒップリフト、毎日やってるんですけど、お尻に効いてる感じがしないんです。もも裏ばっかり疲れて…
それ、フォームが雑なんじゃなくて順番が逆なんですよ。上げるのが先じゃなくて、丸めるのが先です。
・ヒップリフトをやっても、お尻に効かない
・お尻より先に、もも裏がつる
・やっていると、なぜか腰が痛くなってくる
・なぜか前ももが辛くなる
一個でも思い当たったら、骨盤の後傾ができていないサインです。先に結論を言うと、必要なのは回数を増やすことでも、お尻を高く上げることでもなく、お尻の力で骨盤を丸めること。ここが分かると、「やり方が間違ってるのかな」と迷い続けるのを防げます。
【この記事で分かる事】
・ヒップリフトに「正しい一個」が存在しない理由
・ヒップリフトの正体(お尻を上げる種目ではない)
・骨盤の後傾を体で分かる「スズメバチ」の例え
・お尻に効かない2つのエラーと、その見分け方
・もも裏が疲れる人/前ももが張る人が、今どの段階にいるのか
・腹筋が効かない原因がお尻にある理由
ヒップリフトは10種類を超える|「正しい一個」は存在しない
最初に、少し変な質問をします。ヒップリフトって、何種類あると思いますか。「どういう意味?」と思いますよね。じつはヒップリフトという種目だけで、10種類を超えるやり方があります。
なぜ人によってやり方が変わるんですか?
私はパーソナルトレーナーとして年間2500件対応していますが、ヒップリフトは全員に違う声掛けをしています。それくらい骨格も癖も違って、教科書通りにいかない種目だからです。そもそも、お尻を大きくしたい人と、姿勢を改善したい人では、同じヒップリフトでも掛ける言葉が変わります。
なので一個だけお願いがあります。誰かのヒップリフトを真似するのを、いったんやめてください。その状態のままだと、お尻は鍛えられません。
ヒップリフトの正体は「骨盤の後傾」の練習
その上で、一番最初にやるべきヒップリフトが一個あります。結論から言うと、ヒップリフトは骨盤の後傾の練習です。ここが頭にないと一生上手にならないところなので、ざっくりでいいので押さえてください。
骨盤の前傾と後傾って、何が違うんですか?
骨盤には前傾と後傾があります。ここではざっくり、お尻が上がるのが前傾、お尻が下がるのが後傾という認識で大丈夫です。ヒップリフトは後傾の種目。ちなみに女性に人気のヒップスラストも、後傾にする種目です。
骨盤の後傾は「スズメバチ」で覚える
とはいえ「後傾」とだけ言われても分かりにくいと思うので、私が現場でよく使う言い方があります。スズメバチです。
後傾って言われてもピンときません
スズメバチが針を刺す瞬間を想像できますか。お尻を突き出して、針を刺す感じ。あれを人間に例えたのが、骨盤の後傾です。それを仰向けでやればいいだけ、と思ってください。角度や度数で覚えるより、この方がその場で再現できます。
やり方|上げる前に、骨盤の後傾を作る(10回)
仰向けになって、膝を立てます。幅は腰幅。かかとの位置は、最初はどこでも大丈夫です。普通はここからお尻を上げますが、まだ上げません。
【やり方】
1. 仰向けで膝を立てる(腰幅)
2. 上げる前に、骨盤の後傾を作る(=スズメバチ)
3. お尻にちょっとだけ負荷がのる感じを探す
4. のったら、少しだけ上に上げる
5. 少し上げて、少し下げるを10回
かかとの位置はどこが正解ですか?
正解は人によって違います。お尻に負荷がのる感じが分からない人は、かかとの位置をずらしてみてください。なんとなく分かる場所があります。そこがその人の位置です。決まった正解を当てにいくのではなく、探すのが正解、と思ってください。
持ち帰るのは3つだけ
・力を入れすぎない
・上に上げすぎない(前ももに逃げます)
・お尻を床につけない(負荷が抜けます)
お尻に効かない2つのエラー|腰で上げる/足で蹴る
さっきの種目でお尻に効かない人が何をしているかというと、だいたい2パターンです。
ヒップリフトで腰が痛くなるのはなぜ?
一個目は、腰で上げているから。腰を反らせて、その勢いで体を持ち上げているパターンです。やっかいなのは、これ、見た目はお尻を使うバージョンと同じ高さまで上がること。だから自分では気づけません。やっていて腰が痛くなるのは、ほぼこれです。反り腰も悪化させるので、絶対にやめてください。
二個目は、足で蹴って上げているから。かかとで床をぐっと踏んで、脚の力で持ち上げるパターンです。足は床についているだけで大丈夫。お尻で上げて、お尻で下げるを徹底してください。
正直な話をすると、昔は私、これでもいいと指導していました。「お尻が辛くなればOK、足で蹴っても、もも裏が辛くなっても構いません」って。でもこれはこれで間違いだったなと思って、変えました。それだと骨盤の後傾は一生上手にならないんです。
もも裏が疲れるのは正解|ただし途中段階
骨盤の後傾は、大臀筋(お尻)だけでなく、もも裏の筋肉も使います。なのでヒップリフトで後傾ができるようになると、次にもも裏が疲れる人が出てきます。
もも裏がつるんですが、やめた方がいいですか?
やめなくて大丈夫です。前ももや腰が痛くなる人より、正解に近い状態です。ただ最終的には、もも裏ではなくお尻だけでできるようになってほしい。今は途中段階だと思って、最終目標だけ覚えておいてください。
前ももが張るのは、もも裏で後傾を作っている証拠
「もも裏じゃなくてお尻だけで上げて」と言われても分からないですよね。実は明確な違いがあるので、自分で判定できます。仰向けで骨盤の後傾を作った状態で、後傾の方向に力強く入れてみてください。
前ももが張るのはなぜ?
後傾を頑張っているのに前ももが張ってくる。この感じが、もも裏で骨盤の後傾を作っている証拠です。もう一個、上げすぎても前ももが張ります。つまり、力を入れすぎずに、上に上げすぎない。これでお尻だけを鍛えることができます。最初の3つに、全部つながります。
なぜお尻にこだわるのか①|立ち姿勢を決めているのは大臀筋
ここまで読んで、「もも裏で骨盤の後傾ができているなら、それでよくない?」と思った人がいると思います。理由が2つあります。
1個目。膝がまっすぐの状態だと、もも裏で骨盤の後傾を作るのが難しいんです。つまり、立った状態で骨盤の後傾を支配しているのはお尻(大臀筋)。ということは、立った状態で姿勢を綺麗にするには、もも裏ではなくお尻ということになります。姿勢の話は、ここで決まります。
なぜお尻にこだわるのか②|腹筋はお尻でロックしないと効かない
2個目。腹筋のトレーニングは、お尻で骨盤の後傾を作れないと、腹筋に効かせられません。腹筋は、お尻で骨盤の後傾をロックした上でやらないといけない種目なんです。
腹筋が効かないのも、お尻が原因ですか?
その可能性は高いです。腹筋が効かない理由がお尻だった、という人は本当に多いです。私のパーソナルでヒップリフトが全員の必須種目なのは、これが理由で、分かりやすいようにヒップリフトの後に腹筋を置いています。腹筋に効きにくい人は、まずヒップリフトを極めてみてください。
ちなみに、お尻の筋肉(臀筋)は全部で9個あります。有名なのは大臀筋・中臀筋・小臀筋で、大きさで大中小と名前がついています。小臀筋は忘れて大丈夫です。今日の話は、そのうち大臀筋1個だけ。9個あるから効かせ分けのパターンが生まれる、と思っておいてください。
【今日の結論】
・ヒップリフトは10種類を超える。正しい一個は存在しない
・捨てるのは「誰かのヒップリフトを真似する」こと
・正体は骨盤の後傾の練習=スズメバチが針を刺す形
・順番は、上げるのが先ではなく丸めるのが先
・持ち帰る3つ=力を入れすぎない/上げすぎない/床につけない(10回)
・腹筋が効かない原因がお尻、という人は多い
最後に一個だけ。この記事では大臀筋だけで骨盤の後傾を作る話をしてきましたが、実は腹筋も骨盤の後傾を作る筋肉です。腹筋には大臀筋の後傾が必須で、逆にヒップリフトにも腹筋の後傾が必要。これは一方通行ではなく、両方が両方を上手にします。だから今日うまくできなかった人も、安心してください。実際の動きと、よくあるエラーの見分け方は、自分の体で真似できる実技つきで動画にまとめました。
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身体は「筋肉」ではなく、物理現象として読み解く
これが「運動的IQ」です。どの動画・記事から見ても学べる”運動の教科書”を、数年かけて作っています。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、機械や気合いに頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
▼ LINEで相談:https://lin.ee/xbGW2yf
※お尻や腰の不調の原因は人によって異なります。強い痛み・しびれ・脱力がある方、妊娠中の方、通院中の方は、自己判断で鍛える前に医師にご相談ください。この記事は特定の診断・治療を保証するものではありません。





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