セッション中に、実際にお客さんから聞かれた質問です。
筋トレした後って、どれくらいお酒空けたほうがいいですか?
6時間って答えてます。ただ正直に言うと、時間より量のほうが効きますよ。
いつも「6時間」と答えているんですが、この6時間という数字に、はっきりした根拠はありません。それでも僕がこの数字を使い続けている理由と、本当に効くポイントを書きます。元々は大学で骨折予防(脊椎の応力解析)を研究していた立場から、体を「イメージ」ではなく仕組みで解説します。
【この記事で分かること】
・「6時間」に明確な根拠はないこと(正直に書きます)
・効くのは時間より「量」だということ
・研究で筋合成が落ちたのは、どれくらい飲んだときか
・実は筋肉より睡眠のほうが損をしている話
・それでも僕が「6時間」と言い続ける理由
・22歳から27歳まで、一滴も飲まなかった僕がどう考えているか
22歳から27歳まで、一滴も飲みませんでした
先に、僕がどういう人間かを書いておきます。そのほうが、このあとの話をどう受け取るか決めやすいと思うので。
22歳から27歳までの5年間、僕はアルコールを一滴も飲んでいません。理由は、筋肉のためです。飲み会でも飲まない。付き合いでも飲まない。友達の結婚式でも、飲みませんでした。
その結婚式の日、僕は式が始まる1時間前までジムにいました。
当時は、多いときで週8回トレーニングしていました。週7ではありません。朝ジムに行って、夜もう一度ジムに行く日があったので、週8です。
完全にガチの筋肉キャラだったので、周りも「まあ、お前はな」で済ませてくれました。断って気まずくならないくらいには、キャラが固まっていたということです。今思うと、だいぶ振り切っています。
それでも、「6時間」に根拠はありません
ここまで極端にやった人間が言うので、逆に信じてもらえると思います。
「筋トレ後◯時間空ければ大丈夫」という研究は、ありません。筋肉の合成が高まっている状態は、トレーニング後24時間以上続きます。だから「6時間経ったからセーフ」という線が、体の中に引かれているわけではないんです。
ただ、方向としては間違っていません。筋肉の合成がいちばん高いのはトレーニング後1〜3時間あたり。そのピークを外すという意味で、6時間には一定の合理性があります。
効くのは、時間より「量」です
ここがいちばん大事なところです。

筋タンパク質の合成が落ちた、という有名な研究があります。よく「筋トレ後の酒はダメ」の根拠として引用されるやつです。ただ、その研究で飲ませている量を見ると、体重1kgあたり1.5g。体重70kgの人なら純アルコール105g=ビール中瓶で5本以上です。
それくらい飲めば、たしかに落ちます。でも、それは「飲んだ」というより「潰れた」量です。
一方で、体重1kgあたり0.5g以下——70kgならビール1〜2本くらい——だと、影響ははっきりしないという報告のほうが多い。つまり普通の晩酌レベルで、筋肉が溶けていくようなことは起きません。
6時間空けても、そこで5本飲んだら意味がありません。
2時間しか空いてなくても、1本ならほとんど問題になりません。
それより、睡眠のほうが損をしています
実は、筋肉への直接の影響よりこっちのほうが実害が大きいかもしれません。

お酒を飲むと、寝つきは良くなります。これは本当です。ただし深い睡眠とレム睡眠は削られます。寝入りばなだけ良くて、後半が浅くなる。夜中に目が覚めるのも、これです。
そして成長ホルモンは、深い睡眠のときに出ます。ここが削れると、トレーニングの回復そのものが鈍ります。筋合成を直接どうこうという話より、「回復する時間の質が落ちる」ほうが、じわじわ効いてきます。
なので、時間を気にするならトレーニングからの6時間より、寝る前の3時間です。
「今日は付き合いで飲む。でもジムもある」ときは
ここがいちばん現実的な相談です。実際、こう聞かれることもあります。
今日、仕事の付き合いで飲みに行かなくちゃいけないんです。でもジムもある。どうしたらいいですか?
行ってきてください。ジムを先に済ませて、飲む量だけ店に入る前に決めておけば十分です。
具体的には、この5つです。全部やらなくても、上から順にやれるところまでで大丈夫です。
① 順番は、ジムが先
これは動かせません。飲んだ後にトレーニングはしないでください。脱水していますし、判断も反応も鈍っています。効率の問題ではなく、怪我の問題です。時間が無いなら、ジムは翌日に回してください。
② 何杯までか、店に入る前に決める
この記事の結論が「効くのは量」なので、ここがいちばん本質的な対策です。そして店の中で決めると、必ず増えます。座る前に決めてください。
③ 水を挟む(アルコールを流すためではありません)
よく「水をたくさん飲んでアルコールを流す」と言いますが、アルコールは水では流れません。分解しているのは肝臓で、その処理速度はほぼ一定です。尿から出ていくアルコールは全体の数%しかありません。
それでも水は飲んでください。理由が違うだけで、ちゃんと効きます。
水は「流す」ためではなく、「減らす」ために飲みます。
チェイサーを挟むと、単純に飲む杯数が減ります。効くのは量なので、これがそのまま対策になる。さらにアルコールには利尿作用があって、飲んだ以上に水分が出ていきます。翌日のだるさや頭痛の一部は、これです。
④ たんぱく質のつまみを頼む
枝豆、刺身、焼き鳥、冷奴。何でもいいのでたんぱく質を先に頼んでください。
ただし正直に書くと、「プロテインを摂ればアルコールの影響を打ち消せる」わけではありません。運動後にたんぱく質を摂っても、そこにアルコールが入れば合成の低下は防ぎきれなかった、というのが研究の結果です。
それでも頼む理由は、飲む日は、そもそも食事が飛ぶからです。お酒と揚げ物で腹が埋まって、その日のたんぱく質がごっそり抜ける。アルコールの直接の影響より、1日の総量が足りないことのほうが実害としては大きい。ついでに、胃にものが入っていると酔いの立ち上がりも緩やかになります。
⑤ 寝る3時間前で切り上げる
さっき書いた「睡眠」の話が、ここに効いてきます。量の次に大事なのが、これです。飲み会が長引きそうなら、途中で抜けるより、早い時間から始めてもらうほうが効きます。
じゃあ「6時間」は無駄なのか
無駄ではありません。むしろ僕は、これからも「6時間」と言い続けます。
理由は単純で、覚えられて、守れるからです。
「体重1kgあたり0.5g以下に抑えて、就寝3時間前までに終える」——正確ですが、誰も守りません。計算した時点で面倒になって終わります。「6時間空ける」なら覚えられる。そして夕方に運動した人がこれを守ると、結果的に深酒も、寝る直前の飲酒も減ります。
正確だけど守れないルールより、
ざっくりしてても守れるルールのほうが、結果は出ます。
ただし「6時間経ったから何本でもOK」ではありません。そこだけは一緒に覚えてください。この記事で足したかったのは、その一言です。
僕は27歳の誕生日に、やめるのをやめました
5年間の禁酒が終わったのは、27歳の自分の誕生日です。何か理論的な結論が出たわけではなくて、「もういいかな」と思っただけでした。
あれだけ徹底してやってみて分かったのは、ゼロにしたぶんの見返りが、思っていたほど大きくなかったということです。もちろん飲まないほうがいいに決まっています。でも、「一滴も飲まない」と「たまに1杯飲む」の差より、トレーニングを続けるかどうかの差のほうが、はるかに大きい。
ちなみに今も、僕はほとんど飲みません。ただし理由は筋肉ではなく、単純に好きじゃないからです。お酒とダイエットの関係についてはこちらに書きましたが、そっちでも結論は「やめなくていい」です。
【今日の結論】
・「筋トレ後◯時間空ければOK」という研究は無い(合成が高い状態は24時間以上続く)
・ただし合成のピークはトレ後1〜3時間=そこを外す意味で6時間は妥当
・効くのは時間より量。研究で落ちたのは体重×1.5g(70kgでビール5本以上)
・0.5g/kg(ビール1〜2本)なら影響ははっきりしない
・実は睡眠の質のほうが損=深い睡眠が削れる=成長ホルモンが出ない
・気にするならトレ後6時間より、寝る前3時間
・付き合いで飲む日は①ジムが先 ②杯数を店の外で決める ③水を挟む(流すためでなく減らすため) ④たんぱく質を頼む ⑤寝る3時間前で切り上げる
・それでも「6時間」は守れるルールとして優秀。ただし「空けたから何本でもOK」ではない
身体は「イメージ」ではなく、仕組みで考える
「筋トレ後のお酒はダメ」と言うのは簡単です。でも実際に効いているのは時間ではなく量で、しかも本当に削られているのは睡眠のほうでした。何がどう効いているかが分かると、我慢する場所を選べるようになります。全部やめる必要はありません。5年間ゼロにした僕が言うので、間違いないです。これが「運動的IQ」です。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、機械や気合いに頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
▼ LINEで相談:https://lin.ee/xbGW2yf
※本記事は公開されている研究報告と、筆者個人の体験をまとめたものです。飲酒を推奨するものではありません。
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳中の方、服薬中の方、体質的にアルコールを分解しにくい方は飲まないでください。
※アルコールの影響には体重・性別・体質による個人差が大きくあります。本記事の換算は体重70kgの成人男性を想定した目安です。
※持病のある方・治療中の方は、飲酒について必ず主治医の指示に従ってください。

コメント
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[…] この4つは、筋トレ後のお酒は何時間空ける?の記事に詳しく書きました。そちらの結論も「効くのは時間より量」です。結局、同じところに戻ってきます。 […]