立ち上がる時に膝が「ポキッ」と鳴る。スクワットでしゃがんだり立ったりすると膝がポキポキいう。痛くはないけれど、この音は大丈夫なのか——そんな人へ。じつは、膝が悪いのではなく、股関節(もも裏)が支える仕事をしていないだけかもしれません。しかも「もも裏を鍛えれば直る」わけでもありません。元々は大学で骨折予防(脊椎の応力解析)を研究していた立場から、体を「筋肉」ではなく「力の流れ」で正直に解説します。名前は覚えなくて大丈夫です。
立ち上がる時、膝がポキポキ鳴るんです。このまま続けたら、膝、壊れませんか?
痛みが無ければ、音そのものは基本こわくないです。ただ膝一人に押し付けてるサインではあります。私が気にしているのは、膝より腰なんです。
・立ち上がる時に膝が「ポキッ」と鳴る
・スクワットで膝がポキポキいう
・階段の上り下りで膝が鳴る
・痛くはないけれど膝の音が気になっている
一個でも当てはまったら、もも裏(股関節側)が仕事をしていないサインです。先に結論を言うと、原因は立ち上がりで股関節が支えに参加できていないこと。ここが分かると、「もも裏を鍛えれば直るはず」で遠回りするのを防げます。
【この記事で分かる事】
・膝が鳴る本当の理由(膝ではなく股関節の話)
・「膝に負荷が逃げてる」の正体=どこから、どこへ
・強くするのではなく、今日から変えられる立ち方
「膝に負担が逃げてる」は、間違いではないけれど雑
膝が鳴るという相談に対して、よく言われるのが「膝に負担が逃げてる」という説明です。私も現場で使います。ちょっと雑ですが、だいたい合っているので。ただ、思ったことはないでしょうか。どこから、どこへ逃げているのか。ここがはっきりすると、やることが変わります。

膝に負荷をかけるのはダメなこと?
いいえ、膝に負荷は入れて大丈夫です。というより、入れないとダメです。前ももという筋肉は、性質上、膝に負荷をかけることで力を発揮します。だからランジやスクワットで膝に負荷を入れると前ももが辛くなる。前もものトレーニングとしては、それが正解です。問題は「膝に負荷が入ること」ではなく、膝が一人で全部を持たされていることです。

立ち上がりは膝と股関節の「二人がかり」の仕事
立ち上がる動作は膝だけでやると思われがちですが、違います。正しくは膝と股関節の二人がかりです。重い荷物を二人で運ぶのと同じで、分担しています。ところが股関節側が手を離すと、膝が一人で全部を持つことになる。一人で重い物を持つと腕がプルプルするのと同じことが膝で起きて、そのしわ寄せが集まって「ポキッ」と鳴るんです。

膝と股関節を動かしているのは、どの筋肉?
整理すると単純です。膝を動かすのは前もも、股関節を動かすのはもも裏。膝が鳴る人は、膝に力を入れて前ももだけで起き上がろうとしている状態です。つまり、もも裏を使えていないだけ。もも裏が「静かに支える」働きについては、別記事(もも裏は伸ばすより支える)で詳しくまとめています。
今日、捨ててほしい考え「強くすれば直る」
ここで多くの人が思うのが、「じゃあ、もも裏をがんがん鍛えればいいんでしょ」。惜しいです。どんなにもも裏が強くなっても、膝と股関節が同時に動かなければ、膝は鳴り続けます。必要なのは強さではなく、股関節をそっと支える力。強い・太いと、その場で使えているは別の話です。ウエイトトレーニングも大切ですが、体を支える力は別物なので、それも別にやる必要があります。
その場でできる直し方はある?
あります。しかも簡単です。脳はすべての動作にプログラムを持っていて、膝が鳴る人は立ち上がる時に無意識に前ももを使うプログラムになっている。だから直し方は、意識して股関節を使う、これだけ。具体的には立ち上がる時に、いつもよりゆっくり立つ。1秒で立つ人なら2秒かけて立ってみてください。速く立つと勢いでごまかせてしまうので、速度を落とすと支える仕事が戻ってきます。それだけで、意外と股関節が意識できます。

音そのものは、こわくない。ただ——
安心してほしいのですが、痛みが無ければ、音そのものは基本的にこわくありません。ポキッと鳴った=壊れている、ではないんです。過剰に怖がらなくて大丈夫です。ただ「膝一人に押し付けているよ」というサインではあります。もも裏を無意識に使えるようになると、音もだんだん静かになっていきます。
膝より先に痛くなる場所がある?
あります。実際、膝がポキポキ鳴るのを気にされているお客さんに「このまま続けたら膝、壊れませんか?」と質問されたことがあります。でも私が気にしていたのは、膝ではなく腰でした。もも裏を使えていないしわ寄せが、膝より先に腰へ来ていたんです。怖がっていた場所と、本当に負担がかかっていた場所が、違った。腰に来るパターンは別記事(腰痛とお尻の話)にまとめています。

【今日の結論】
・膝の音は膝が悪いのではなく、股関節(もも裏)が支えに参加していないサイン
・立ち上がりは膝(前もも)と股関節(もも裏)の二人がかり
・膝に負荷を入れるのはOK。捨てるのは「強くすれば直る」
・まずは、いつもよりちょっとゆっくり立つ
膝は悪くないので、膝を責めないであげてください。実際の動きと、裏側を参加させる練習は、自分の体で真似できる実技つきで動画にまとめました。「鍛える」ではなく「参加させる」を体で掴みたい方は、こちらを見てください。
身体は「筋肉」ではなく、物理現象として読み解く
これが「運動的IQ」です。どの動画・記事から見ても学べる”運動の教科書”を、数年かけて作っています。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、機械や気合いに頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
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※膝や腰の痛みの原因は人によって異なります。強い痛み・腫れ・引っかかり・しびれ・脱力がある方、通院中の方は、自己判断で伸ばす・鍛える前に、医師にご相談ください。この記事は特定の診断・治療を保証するものではありません。

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