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運動と栄養を、仕組みで理解する。|小山市パーソナルジムPUTTERS 松本大樹
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プランクが効かない本当の理由|腹筋が弱いのではなく、腕の力が背骨まで届いていない

2026 8/27
トレーニング
2026年8月26日2026年8月27日

プランクをやっても、お腹に入っている感じがしない。しばらくすると、お腹より先に腕が疲れてくる。

パーソナルトレーニングをしていると、この相談をよく受けます。そして皆さん、決まって同じことを言います。「体幹が弱いんですかね」と。

私からすると、違います。腹筋が弱いんじゃありません。腕の力が、背骨まで届いていないだけです。

累計17,000セッションの指導をしてきましたが、この状態の人は本当に多いです。しかも厄介なことに、普通の腹筋(縦のクランチ)だけは問題なくできてしまうので、自分では気づけません。

目次

まず、電車の吊り革で試してみてください

解剖の話をする前に、先に体感してもらいます。

吊り革は、どこで捕まっていますか?

電車で吊り革に捕まるとき、どこで体を支えていますか。

そう聞かれると、ほとんどの人が「腕に決まっている」と答えます。私は違います。私は肩甲骨で捕まっています。

そして、これが腹筋の話につながります。

プランクとクランチ、何が違うのか

同じ腹筋の種目なのに、クランチはお腹に入る感じがあって、プランクは効いている感じがしない。この違いはどこから来るのか。

並べてみると、はっきりします。

  • クランチは動く/プランクは動かない
  • クランチは仰向け/プランクはうつ伏せ
  • クランチは手が空中にある/プランクは手が床についている

キーワードは「床についている」

3つ目が今日の話の入口です。手が床についているかどうかで、体の支え方がまったく変わります。

試しに、今すぐプランクをやってみてください。肘をついて、膝もついて構いません。お腹に力を入れる必要もありません。

その状態で、体重がどこに乗っているかを感じてみてください。腕でしょうか。背中でしょうか。

答えは肩甲骨です。ここで「腕に乗っている」と感じた人、あるいは何も分からなかった人は、この先が本題になります。

腕を使うときは、4チームで支えている

ここからが仕組みの話です。

腕で押したり、引っ張ったり、体重をかけたりするとき、体は単独では支えていません。腕・前鋸筋・肋骨・背骨(胸椎)、この4つがセットで支え合っています。

以前、腹筋は「骨盤・腹筋・肋骨・胸椎」の4チームで動くという話を書きました。今日はそれとは別の、腕を使うときの4人です。

前鋸筋は、力を「伝える係」

前鋸筋(ぜんきょきん)は、肩甲骨と肋骨をつないでいる筋肉です。場所は脇の下から、脇腹のあたり。体の横にあります。

前鋸筋は何をしている筋肉ですか?

仕事は名前のとおりで、腕に伝わった力を、肋骨に伝えることです。サッカーで言えばボランチ、バレーボールで言えばセッター。自分で点を取る選手ではなく、つなぐ選手です。

そして肋骨は、背骨から出ている骨です。だから腕にかかった力は、前鋸筋を経由して肋骨へ、肋骨から背骨へと流れていきます。4人全体に分散するので、腕だけが極端に疲れるということが起きません。

前鋸筋が働いていないと、どうなりますか?

パスが出ません。腕にかけた力が、肋骨から先へ進まなくなります。

サッカーでディフェンスがどれだけ上手くても、フォワードにパスが渡らなければ点は入りません。バレーでレシーブが上手くても、スパイクにつながらなければ同じです。

プランクをしていて「腕の力が抜けません」と言う人がいます。あれは腕の力み癖ではなく、腕の力を肋骨に渡せていない状態です。渡し先がないので、腕が持ち続けるしかない。だから腕だけが疲れます。

体幹トレーニングとは、何を指すのか

ここまで説明すると、やっと言える話があります。

「体幹トレーニングって何ですか」とよく聞かれます。私の定義はこうです。背骨か骨盤を必ず経由するトレーニング、それが体幹トレーニングです。

プランクが1分できれば体幹が強いですか?

そうとは限りません。前鋸筋が仕事をせず、腕だけで頑張って背骨を経由していないなら、私はそれを体幹トレーニングだとは考えていません。

秒数の問題ではないんです。力がどこを通っているか、の問題です。

斜めクランチだけ入らない理由

ここで、最初に置いた疑問に戻ります。

「手が床についているかどうか」で線を引きましたが、そうすると説明がつかない種目があります。斜めクランチです。ぶら下がってもいないし、手で床を押してもいない。それなのに、縦のクランチはできるのに斜めクランチだけ入らない、という人がとても多い。

横腹と前鋸筋は、つながっています

横腹(腹斜筋)は、骨盤から肋骨につながっています。そして前鋸筋は、肋骨から肩甲骨につながっています。2つは肋骨で地続きなんです。

だから、横腹のトレーニングであっても、前鋸筋が使えていないと効かせることができません。ここは文章だけだと伝わりにくいところなので、解剖の写真を3枚並べて動画で解説しています。

整理すると、線は「床についているか」ではなく「肩甲骨に逃げ道ができるか」です。手をつく種目(プランク・キャットバック・吊り革)も、捻る種目(斜めクランチ)も、肩甲骨に逃げ道ができます。そこで前鋸筋が肩甲骨を肋骨に留めていないと、力が逃げます。

縦のクランチだけは肩甲骨が関係しません。だから今まで気づかなかったんです。

やることは1つ。脇を触って、肩甲骨を下げる

前鋸筋は、他の筋肉と少し違います。負荷をかけて鍛えるより先に、「感じる」ことから始まります。動かす筋肉ではなく、力を伝える筋肉なので、ほとんど動きません。感覚としては制御に近いです。

やり方

片腕を上げて、もう片方の手で脇の下を触ります。その状態で、肩甲骨を下げてください。

脇のちょっと下が硬くなるのが分かりますか。それが前鋸筋です。

分からなければ、腕の角度を変えてみてください。どこか1つ、分かる角度があるはずです。その角度で、硬くする・力を抜くを繰り返す。これだけです。慣れると、どの角度でもできるようになります。

できているか確かめる方法

椅子に座って(立ったままでも構いません)、背中をまっすぐにします。右手を上げて、左手で前鋸筋を触り、固めた状態のまま左に体を捻ってみてください。

右の横腹がつらくなるはずです。次に、前鋸筋の力を抜いて同じように捻ると、横腹をほとんど感じないと思います。同じ動きなのに、前鋸筋が入っているかどうかで別物になります。

週1回では上手くなりません

正直に言うと、この練習は週1回や2回では上手くなりにくいです。筋肉を大きくする種目ではなく、感覚を思い出す練習だからです。

なので、思い立ったときにやってください。仕事の合間でも、休憩中でも構いません。私は電車で通勤していた頃、吊り革に捕まりながら毎日練習していました。腕を上げているので、絶好の機会なんです。冗談抜きで毎日やっていて、おかげで懸垂が上手になりました。

100%ではなく、10%を出せるように

もう一段だけ、先の話をします。

筋肉が動く範囲と、自分で制御できる範囲は違います。力を入れること自体はできるのに、加減ができない人がとても多い。0から100まで動かせるのに、制御できるのは0と90〜100だけ、という状態です。力を抜いた状態から入れにいくと、いきなり90くらいになってしまう。本当は10くらいで使いたいのに。

前回書いたキャットバックも同じです。四つん這いで手が床についているので、前鋸筋の制御が必要になります。100%の力で押し込むと肩が前に出てしまう。だから10%、20%と加減できる力が要ります。

できないのではなく、忘れているだけ

「自分にはできない」と言われることがあります。ここははっきり誤解を解いておきます。

皆さん、赤ちゃんや子どもの頃はできていました。忘れているだけです。だから、思い出すだけなんです。

忘れていた期間が長いほど時間はかかりますが、60代でできるようになった方も多くいます。そこは安心してください。

この前鋸筋が、実際の種目でどう効いてくるかの例を1本書きました。→ クラムシェルでお尻に入らない人へ|スマホを持ってやると入る理由

まとめ

プランクが効かないのは、腹筋が弱いからではなく、腕の力が背骨まで届いていないだけ。伝えているのは前鋸筋です。まずは脇を触って、硬くする・力を抜くを繰り返すところから始めてください。

最後に、私の動画も記事も全部そうなんですが、単語は覚えなくて大丈夫です。前鋸筋という名前は忘れてもらって構いません。「腕の力が背骨に届くとお腹に入る」という雰囲気だけ、持ち帰ってください。

動画で見る(実技つき)

腕でぶら下がった時と前鋸筋でぶら下がった時の比較映像、横腹と前鋸筋がつながっている解剖の写真、実際の練習のやり方は動画で見られます。

身体は筋肉ではなく、物理現象として読み解く。これが「運動的IQ」です。身体の使い方を、どの動画から見ても学べる運動の教科書を、数年かけて作っています。

体験・お問い合わせはトレーニングジム PUTTERS(栃木県小山市)まで。

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この記事を書いた人

松本大樹のアバター 松本大樹

松本大樹(運動的IQ)|栃木県小山市のパーソナルジムPUTTERS代表。元ジャニーズ事務所の専属トレーナー。芝浦工業大学・生体機能工学出身。運動と栄養を「仕組み」から解説しています。

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 腹筋で体が上がらない本当の理由|弱いのではなく、背骨(胸椎)が動いていない | 運動的IQ|松本大樹 より:
    2026年8月26日 11:16 PM

    […] 何が起きているかというと、肩甲骨と肋骨にくっついている「前鋸筋」という筋肉が関わってきます。キャットバックを極めるにも、腹筋を極めるにも、この筋肉が必要になります。この話はプランクが効かない本当の理由(前鋸筋)で詳しく書きました。 […]

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