ラットプルをやっても、背中に効かない。腕や肩ばかり疲れる。そんな人は多いです。
お客さんから、こんな質問をもらいました。
「お尻とかもも裏は、ジムに通い出してから上手くなった実感があります。でも、背中の種目だけ成長が遅い気がします。これって何でですか?」
結論から言うと、ジムだけでは、肩甲骨のクセは直らない人がいます。そういう人は、ジムのラットプルに、家でエアーのラットプルを足すと上手くなります。
ジムと家、どっちが上手くなる?
動画では、2パターンの映像を流しています。1つ目は、ジムでマシンを使って、重りをつけて引いている映像。2つ目は、家でマシンも重りも使わずに、手ぶらで数センチだけ引いている映像です。
普通に考えたら、1つ目ですよね。でも正解は、両方です。

ジムの1つ目だけでは、上手くならない人がいます。家の2つ目だけでも、上手くなりません。両方やって、やっと上手くなります。でも、ほとんどの人は1つ目しかやっていません。
ジムだけで直せる人と、直せない人
まず、背中の成長が遅い人は、ジムでのやり方が悪いとは限りません。正直に言うと、私も、ジムのトレーニングだけで肩甲骨のクセを直すのに、限界を感じていました。

ジムだけで直しやすいのは、どんな人ですか?
仕事で結構動く人、日常的に動く人。学生時代に、水泳や野球のような肩甲骨を使う運動をしっかりやっていた人です。こういう人は、週1回のトレーニングでも直しやすいです。
直しにくいのは、どんな人ですか?
運動経験がなく、デスクワークのように、ずっと同じ姿勢でいる人です。
肩甲骨は、鎖骨の1か所でしかつながっていない
その差がどこから来るのか。肩甲骨の作りで説明します。
肩甲骨が体とつながっている場所は、鎖骨の1か所しかありません。あとは17個の筋肉がついていて、その筋肉で肩甲骨を支えています。

筋肉で支えられているだけなので、座り方や腕の位置で、肩甲骨の場所そのものがずれます。たとえば、パソコンを打っている間。腕は前に出ていて、肩甲骨はずっと前に引っ張られています。
太ももの骨とは、何が違うんですか?
太ももの骨は、片方は股関節にはまっていて、もう片方は膝についています。筋肉だけでなく、関節にも支えられています。だから座っている時は、肩甲骨より休むことができます。
座っている間、肩甲骨はエラー動作を覚え続けている
わかりやすく誇張して言うと、座って腕を前に出している間、肩甲骨はずっとエラー動作を起こしています。
脳は、いい動きも悪い動きも、両方覚えます。つまり、悪い動きを覚え続けている状態です。仕事で動く人や、水泳や野球をやっていた人は、普段から肩甲骨を動かしているので、このエラーが溜まりにくいんです。

ジムでしっかりやれば、上書きできませんか?
ジムで1時間いい動きを入れても、家や職場で8時間座っていたら、そっちの方がずっと長いんです。ジムで10回3セットやっても、普段のクセを上書きできない。ジムだけが本番だと思っていると、ここで止まります。
家でやる、エアーのラットプル
そこで、ジムだけでは直せなかったお客さん2名にお願いしました。「ジムだけではいい動きの上書きが難しいので、家でもやってもらってもいいですか」と。
1人は20代男性、もう1人は40代女性です。2人とも運動経験がなく、仕事はデスクワークです。
やり方を教えてください
座っても、立っても、どちらでも大丈夫です。
両腕を頭の上に伸ばします。そこから、エアーでラットプルをやっているつもりで、肘を曲げて下に引きます。脇の下に効いている感じがあれば、正解です。
最初は、効いている感じがわかる数センチだけで大丈夫です。わかる範囲が、少しずつ広がっていけば、それでいいです。
何回、いつやればいいですか?
回数は3〜5回。覚えるための回数なので、5回で足ります(理由は筋トレは10回3セットと15回2セット、どっちがいい?で書いています)。仕事の合間に、思い出したらやる。それを1日に何回かやってみてください。
2人にやってもらったのも、これだけです。気がついたら、2人とも2か月くらいで物にしていました。そこから、ラットプルもワンハンドローイングも、圧倒的に上手くなりました。
崩れやすいのは戻す時。でも、家では引く方だけ
実は、ラットプルで崩れやすいのは戻す時です。腕を上に戻す時に、背中の力が抜けて、肩で上げてしまう人が多いです。だから本当に練習してほしいのは、戻す方です。

なぜ、戻す方を練習しないんですか?
脳が悪い動きも覚えるからです。わからない戻す動きまでやると、変に覚える可能性がある。だから、わかる動きだけを数打って覚えます。
実はこれ、研究でも近い結果が出ています。ゴルフのパターの練習で、間違いを少なくして覚えた人の方が、本番で崩れにくかったという研究です(Maxwell ほか, 2001)。間違えながら覚えるより、できる動きで覚えた方が強い、ということです。
そして実際に、2人とも戻す方まで上手くなりました。
ジムのラットプルは、フルの可動域でやっていい
そうなると、「ジムでやる動きも、正解かわからないなら、やらない方がいいですか?」と思う人もいると思います。
ラットプルは、ちゃんと可動域を取ってやっていい理由があります。戻す動きは、そもそも重りがないとわかりにくいです。だから、ラットプルの戻す動きは、負荷がかかってわかりやすいんです。

まとめると、ジムのラットプルでは、フルの可動域で引いて戻すまでやる。けど、それだけだと数が足りないから、家ではエアーで数センチだけ動かす。この2段階が、成長を早めます。
背中だけ成長が遅いのは、やり方のせいではありません
お尻やもも裏は上手くなったのに、背中だけ成長が遅い。それは、やり方が悪いからではありません。肩甲骨にとっては、ジムより、座っている時間の方が長いからです。
ジムだけが、本番ではありません。
動画で見る(実技つき)
ジムと家の2パターンの映像と、エアーのラットプルの実技は動画で見られます。
身体は筋肉ではなく、物理現象として読み解く。これが「運動的IQ」です。身体の使い方を、どの動画から見ても学べる運動の教科書を、数年かけて作っています。
体験・お問い合わせはトレーニングジム PUTTERS(栃木県小山市)まで。

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