扁平足で、足が疲れる。インソールを使った方がいいのか、迷っている。
お客さんからも、こんな質問をもらいました。
「扁平足で、足が疲れるのですが、インソールって使った方がいいですか?」
答えは、使って大丈夫です。そして結論から言うと、インソールは土踏まずを外から支える道具です。体の中にも、同じ仕事をする筋肉があります。
実はこのお客さん、そんな質問をしながら、無意識に足の指に力を入れて反らしていました。その無意識のクセに、扁平足の理由が隠れています。
「圧力分散」は、私の研究のテーマでした
インソールの売り文句で、よく出てくる言葉があります。「圧力分散」です。
実はこの圧力分散、私が大学でやっていた骨折の研究のテーマそのものでした。研究では、力が集まった場所を見つけたら、次に、なぜそこに集まったのかを考えます。じゃあ、扁平足の人の足には、何が起きているのでしょうか。
指を反らすと、土踏まずが上がる
足の指を反らしてみてください。土踏まずが上がります。
次に椅子に座って、片方の足を、反対の膝に乗せます。土踏まずのちょっと内側を指で触りながら、指を反らしてみてください。硬いスジが1本、浮き出てきます。
あの硬いスジは何ですか?
足底腱膜といいます。踵から、指の付け根までつながっています。
足底腱膜は筋肉ではありません。例えるなら、ひもです。自分で縮むことはできず、ピンと張って、耐えることしかできません。
なぜ、指を反らすと土踏まずが上がるんですか?
指を反らすと、足底腱膜が指の付け根に巻き上げられます。その結果、踵と指の付け根が引き寄せられて、真ん中の土踏まずが上がります。弓の弦を引くと、弓が反るのと同じです。

つまり、指を反らして土踏まずを上げるというのは、筋肉じゃなくて足底腱膜で上げているんです。さっきのお客さんがやっていたのは、これです。
足底腱膜は、土踏まずがつぶれてからしか支えられない
ここが一番大事なところです。足底腱膜には、弱点があります。引っ張られてからでないと、仕事ができないんです。
歩いていて、足に体重が乗ります。体重は、すねの骨から、土踏まずの上に乗ります。
でも、この時、床に着いているのは、踵と指の付け根だけです。土踏まずは床に着いていません。両端で支えて、真ん中に重さが乗るので、土踏まずが沈みます。
今度は土踏まずのほうが沈んで、足底腱膜が伸ばされます。足底腱膜は、そこで初めてピンと張って、土踏まずを引き戻します。

インソールで足が楽になる理由=圧力の分散
その点インソールは、土踏まずの下に入って、沈む前に下から受け止めてくれます。
踵と指の付け根だけで受けていた体重を、土踏まずでも受けられるようになる。これが圧力の分散です。だから、扁平足の人がインソールを使うと、足が楽になるんです。

インソールは、どれを選べばいいですか?
土踏まずの下が盛り上がっているものです。平らなクッションだけのものは、下から受け止めてくれません。
母指球や踵が痛い人にも、インソールは効きますか?
今回は扁平足で話しましたが、母指球や踵が痛くなる人が、インソールで楽になる理由も同じです。踵と指の付け根だけで受けていた体重を、土踏まずでも受けられるようになるからです。
沈む前に受け止める筋肉=後脛骨筋
ここで1個、疑問が出てくると思います。インソールのように、沈む前に土踏まずを受け止める筋肉はないのか?
実はあります。後脛骨筋という、ふくらはぎにある筋肉です。ふくらはぎの奥から、内くるぶしの後ろを通って、土踏まずの下に付いています。土踏まずを、下から吊り上げている筋肉です。
足底腱膜と違って、筋肉なので、自分で縮めます。だから、つぶれる前に止められるんです。

やり方|つま先を内側に向けたカーフレイズ
普通のカーフレイズでも、後脛骨筋は働きます。でも主役は腓腹筋という大きな筋肉で、後脛骨筋は脇役です。そこで、ひとつだけ変えます。

- つま先を、行けるところまで内側に向けて立つ(股関節が詰まるまでは向けない)
- その向きのまま、踵を上げて、ゆっくり下ろす
- 15回を1〜2セット
注意することはありますか?
2つあります。
- 高く上げない。高く上げるほど、足底腱膜を使います。
- 指は、床に置いておくだけ。握らない、強く押さない。指に力を入れると、指で踵を上げてしまって、後脛骨筋がサボります。
そうすると、あまり上がりませんが、これが正解です。高く上げてはいけない理由は、カーフレイズは高く上げるほど、ふくらはぎに効かないで詳しく解説しています。
どこに効いていれば正解ですか?
効いていると、内くるぶしの上あたりが疲れてきます。今わからなくても、さっきの2点さえ注意しておけば、わかるようになります。
お客さんが指を反らしていた理由
最初のお客さんの話に戻ります。
後脛骨筋がうまく働かないと、土踏まずは沈んでいきます。それを止めるために、指を反らして、足底腱膜で持ち上げていたんです。これが、無意識のクセに隠れていた、扁平足の理由です。
なので、お客さんへの答えはこうなります。インソールは、使って大丈夫です。
インソールは、外から支えるもの。後脛骨筋は、中から支えるもの。インソールを使いながら、今日の練習も一緒にやってみてください。
動画で見る(実技つき)
指を反らした時の足の映像、足底腱膜と後脛骨筋の図、つま先を内側に向けたカーフレイズの実技は動画で見られます。
身体は筋肉ではなく、物理現象として読み解く。これが「運動的IQ」です。身体の使い方を、どの動画から見ても学べる運動の教科書を、数年かけて作っています。
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