「パワーグリップって買った方がいいですか?」——ジムでよく聞かれます。先に結論から言うと、僕は”要らない派”です。ただし、要る場面もはっきりあります。じつは僕自身、筋トレを始めた頃は握力が18kgしかなくて、パワーグリップ無しではまともに引けませんでした。それが今は52kgです。この記事は、その間に何が起きたかという話です。元々は大学で骨折予防(脊椎の応力解析)を研究していた立場から、道具を「あり/なし」ではなく「何のためのトレーニングか」で正直に整理します。

ラットプルとか懸垂で、背中より先に腕が疲れちゃうんです。パワーグリップ買った方がいいですか?

僕は普段使いません。でも、始めたばかりの頃は必要でした。ここ、目的で答えが変わるんです。
・ラットプルダウン・懸垂で、背中より先に前腕がバテる
・パワーグリップを買うか迷っている
・使うと握力が弱くなりそうで不安
・「上級者っぽいから」で買おうとしている
そもそもパワーグリップとは?
ひとことで言うと、握力を補強する道具です。手首にベルトを巻いて、垂れている部分をバーに引っかけ、その上から握り込みます。すると握る仕事を道具が肩代わりしてくれるので、握力が先に限界を迎えなくなる。ラットプルダウン・懸垂・デッドリフトなど、「引く」種目で使う道具です。実物はこれです。
【PUTTERSの会員さんへ】
ジムでは無料で貸し出しています。買う前に、まず一度使ってみてください。合うかどうかは、着けて引いてみればすぐ分かります。
結論:日常で使える体が目的なら、要りません
パワーグリップは、握る仕事を道具に肩代わりさせて、狙った筋肉(主に背中)に集中させるための道具です。よくできています。だから「悪い道具」ではまったくありません。
その上で、僕が普段使わない理由はシンプルです。僕がやっているのは、日常で使えるパフォーマンスを上げるためのトレーニングだから。日常生活で、荷物を持つとき・かばんを引くとき・手すりを掴むときに、手のひらにベルトを巻いてくれる人はいません。握るところから背中まで、体はひと続きで使われます。その”ひと続き”を切り離してしまうのが、パワーグリップの唯一の弱点です。
筋肥大が目的なら使った方がいい?
僕は筋肥大を狙うトレーニングもやりますが、そのときも使いません。「背中を追い込みたいなら握力の限界より先に行くべき」という考え方は理解できますし、否定もしません。ただ僕の場合、握れる範囲でも背中は十分に育っています。だから、道具を足す理由が今のところ無い、というだけです。
僕は、握力18kgから始まりました
筋トレを始めた頃、僕の握力は18kgでした。成人男性の平均の半分もありません。当時はラットプルダウンをやっても懸垂をやっても、背中に入る前に前腕が痛くなって、そこで終わり。背中を鍛えているのか腕を鍛えているのか分からない状態でした。
この状態のとき、パワーグリップは正しく必要でした。握力が足りずに種目そのものが成立していないなら、まず種目を成立させないと何も始まりません。
【最初にパワーグリップが要る人】
握力が先に限界を迎えて、狙った種目が”できていない”人。これは根性の問題ではありません。土俵に上がれていないだけなので、道具で上げてしまってOKです。
パワーグリップを使うと握力は落ちる?
よく心配されますが、使ったから落ちる、という単純な話ではありません。問題は「握らない期間が長いと、握って引くという一続きの動きを覚える機会が減る」ことです。落ちるというより、伸びる機会が来ない、が近いと思います。
背中の使い方を覚えたら、要らなくなった
転機は、背中の使い方——特に前鋸筋(ぜんきょきん)で肩甲骨を支える感覚を覚えたときでした。それまでの僕は、腕で引いて、足りない分を握力で頑張っていた。だから前腕から潰れていたわけです。肩甲骨が支えられるようになると、引く仕事の主役が背中に移ります。すると同じ重さでも、前腕の悲鳴が先に来なくなる。
そこで僕はパワーグリップをやめて、懸垂を素手でやるようになりました。結果として、握力は18kg → 52kgまで上がりました。握力を鍛えるトレーニングは、ひとつもやっていません。背中が使えるようになった副産物として、握力が後からついてきたという順番です。
これが、僕が「要らない派」になった理由です。道具が悪いのではなく、道具を外したら勝手に伸びたという体験があるからです。
それでも僕が使う、たった1つの場面
使い分けはしています。筋力アップが目的で、3〜5レップしか上がらない重量を扱うとき。ここは使います。理由は明確で、この領域は重量そのものが目的だからです。握力がボトルネックになって狙いの重さが扱えないなら、道具で外す方が理にかなっています。
【松本の使い分け】
▶ 日常で使える体づくり … 使わない(握るところから背中まで、ひと続きで使いたい)
▶ 筋肥大 … 使わない(握れる範囲でも十分育つ)
▶ 筋力アップ・3〜5レップの高重量 … 使う(重量が目的なので、握力で頭打ちにしない)
▶ 始めたばかりで握力が足りず種目が成立しない … 使う(まず土俵に上がる)
買うなら、どれでもいいのか
上の「使う」に当てはまる人向けに、僕が使っているものを置いておきます。
そして、買った人ほど覚えておいてほしいことがあります。ずっと着けっぱなしにしないこと。僕が握力を伸ばせたのは、外した日を作ったからです。道具は、卒業する前提で使うと一番役に立ちます。
背中が使えるようになる感覚——肩甲骨まわりで「静かに支える」感じは、文字だけだと掴みにくい部分です。実技つきで動画にまとめてあります。前腕から先に潰れてしまう人は、こちらを見てください。
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身体は「筋肉」ではなく、物理現象として読み解く
これが「運動的IQ」です。どの動画・記事から見ても学べる”運動の教科書”を、数年かけて作っています。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、機械や気合いに頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
▼ LINEで相談:https://lin.ee/xbGW2yf
※握力の数値・体感には個人差があります。肘や手首に痛みがある方、通院中の方は、自己判断で重量を上げる前に医師にご相談ください。この記事は特定の診断・治療を保証するものではありません。また本ページはアフィリエイトリンクを含みます。紹介は松本の判断によるもので、報酬の有無で内容は変えていません。

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