セッション中に、実際にお客さんから聞かれた質問です。
スクワットで腹圧入れるのは胸式だよね?
正しいことを中途半端に教えると間違えるので、胸式だと説明していました。結論から言うと違います。腹式です。
前の記事を見てくれた人は、横隔膜のことが少し分かったと思いますので、ここからは正しいことを書いていきます。
【この記事で分かること】
・腹式呼吸と胸式呼吸は、何が違うのか
・スクワットの腹圧で使っているのはどっちか
・鼻で吸うか、口で吸うかで違いを確かめる方法
・ストレッチポールで何を練習しているのか
・僕が「胸式」だと説明していた理由
腹式と胸式の違いは、「肩が上がるかどうか」
腹式呼吸は、横隔膜で吸います。肺の下にあるドーム状の膜が下に落ちて、肺に空気が入る。落ちた横隔膜が下の内臓を押すので、結果としてお腹が膨らみます。
胸式呼吸は、肋骨を持ち上げて吸います。簡単に言うと、肩が上がるって感じです。
横隔膜を下に広げるのが腹式、肩を上に広げるのが胸式。そんな感じです。

腹圧は腹式です。横隔膜が主役だから
腹圧を入れる時にやっているのは、息を吸って横隔膜を下げること。主役が横隔膜である以上、分類は腹式です。
胸式では腹圧は作れません。肩を上げても横隔膜は下がらないので、お腹の中の圧が上がらない。
全然わからないです
同じ肺を広げるのに、違うのが難しい
そうなんです。同じ肺を広げるのに違うというのが、一番ややこしいところだと思います。
もう超簡単に説明します。
今、鼻で大きく吸ってみてください。
胸が前後に広がりませんでした?
これが腹式です。
今度、口で吸ってみてください。
肩、すくみませんでした?
これ胸式です。

両方変わらないです
わかった……。肩が上がらないように鼻で吸って、肺を膨らましてみて。
あ、できました
もう、できますよね?
分からなかった人は、これでやってみてください。肩が上がらないように、鼻で吸って、肺を膨らます。これだけです。
お腹を膨らませるでも、胸を膨らませるでもなく、肺。ここを膨らませれば、下にある横隔膜は勝手に落ちます。

ストレッチポールで練習しているのは、これです
だから、ストレッチポールで鼻から吸って、わざとお腹を膨らませて、「これが腹式だよ」という練習をしています。鼻で吸ってお腹が膨らんだよ、ということを脳に教えてあげているんです。
同じ肺を動かすのでも、違いが分かるように練習しています。
毎週やっている僕のお客さんに言いたいことは、これです。
鼻で吸えば「無意識にお腹が膨らむ」までできている。
100回近く練習していたら、横隔膜の動きも感じられると思います。あとは肺を膨らませて、横隔膜が落ちるのを意識するだけです。
分からない人は、ストレッチポールで練習してみてください。背骨が乗ると肩甲骨が左右に落ちて、首や肩の力で吸えなくなります。胸で吸って逃げる道が物理的に塞がれるので、横隔膜を使うしかなくなる。言葉で教えるより、姿勢が勝手に正解を出させてくれます。
安い類似品を選ばないほうがいい理由は、ストレッチポールは”本物1択”に書きました。芯がへたると支えてくれる高さが変わるので、練習になりません。
それでも胸が張るのは、息を止めているから
ここが、胸式だと感じる原因です。
腹圧をかけると、お腹だけでなく胸もパンパンに張ります。リラックスした腹式呼吸——お腹だけがポコッと膨らむあれ——とは体感がまるで違う。だから「これは腹式じゃないだろう」と感じる。
理由は、息を止めているからです。
息を止めるというのは、喉で空気の出口を閉じること。出口が閉じられると、胸から下が丸ごと密閉されます。するとお腹の中の圧と一緒に、胸の中の圧も上がる。胸が張るのはこのためで、体感としては何も間違っていません。
腹式で吸って、胸ごと固めている。これが腹圧をかけている時の状態です。
胸式で吸うと、腹圧はむしろ抜けます
ここは実害があるので、はっきり書きます。
「胸に空気を入れよう」と思って吸うと、多くの人は肩をすくめます。首と肩の力で肋骨を引き上げるからです。そして肋骨が持ち上がって、開いたまま固定される。
こうなると、上の横隔膜と下の骨盤底がまっすぐ向き合わなくなります。風船で言えば蓋が斜めになった状態で、いくら中を押しても圧が上に逃げていく。
首や肩に力が入っているのに、お腹が締まっていない人は、だいたいこれです。頑張っているのに支えが出てこないので「自分は腹圧が弱い」と思ってしまう。弱いのではなく、吸い方の時点で漏らしているだけです。
深呼吸で肩が上がるのはダメですか?
日常の深呼吸なら、問題ありません。
気持ちよく吸えているならそれでいい。ダメなのは、腹圧をかけたい場面で肩が上がる時だけです。目的が「支えを作ること」なのに、動きが「圧を逃がすこと」になっているので、そこだけ噛み合っていません。
なぜ「胸式」と説明していたか
種明かしをします。
一番伝えたかったのは、「お腹を自分で膨らませに行かないでほしい」ということでした。
「腹式呼吸です」と言うと、ほぼ全員がお腹を膨らませに行きます。腹式=お腹を膨らませる運動、だと思われているからです。でも自分から膨らませに行くと、前の記事に書いた通り、腹圧はむしろ抜ける。
だったら「胸式」と言ってしまったほうが、お腹を膨らませに行かない。実際に胸も張るので、体感とも合う。正確ではないけれど、正確に言うより正しい動きが出る。だからそう説明していました。
【今日の結論】
・腹式=横隔膜を下に広げる/胸式=肩が上に上がる
・スクワットの腹圧は腹式(横隔膜が主役)
・鼻で吸うと腹式、口で吸うと胸式になりやすい=一度やってみると違いが分かる
・分からない時は「肩が上がらないように、鼻で吸って、肺を膨らます」=これだけでできる
・胸も張るのは息を止めて胸の中まで密閉されるから=体感は正しい
・胸式で吸うと肋骨が開いたままになり、圧が上に逃げる
・ポールの練習=「鼻で吸ったらお腹が膨らんだ」を脳に教える作業
・「胸式」と説明していたのは、「自分で膨らませない」を先に入れたかったから
身体は「イメージ」ではなく、仕組みで考える
「腹式か胸式か」という名前は、覚えても使えません。でも「横隔膜が下がったか、肩が上がったか」で見れば、自分の体で確かめられます。名前を覚えるのではなく、どこが動いたかで判断できるようになること。これが「運動的IQ」です。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、気合いや道具に頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
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※運動の効果には個人差があります。息を止めて腹圧をかけると血圧が上がります。高血圧・心疾患のある方、妊娠中の方は、息を止めずに行うか、必ず主治医の指示に従ってください。痛みのある方・治療中の方も同様です。

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