セッション中に、実際にお客さんから聞かれた質問です。
脳はいい動きを覚えるって知りましたが、悪い動きも覚えますか?
覚えます。変な癖っていうのが、まさにそれです。だから疲れたまま次のセットに行くのが、一番もったいないんです。
脳が動きを覚えてくれるのはいい話に聞こえますが、これは裏返すと少し怖い話でもあります。
【この記事で分かる事】
・脳は「いい動き」と「悪い動き」を区別しないということ
・インターバルを短くすると、悪い癖の練習になってしまう理由
・休むのが下手な人ほど遠回りになる、その仕組み
脳は「いい・悪い」を区別しない。繰り返した方を覚える
結論から言うと、覚えます。脳は「これは正しいフォームだから覚えよう」「これは崩れてるから覚えないでおこう」という選び方をしません。繰り返した動きを、そのまま覚えます。
世間では「練習は完璧を作る」と言いますが、正確には練習は”消えないもの”を作るです。いい動きを繰り返せばいい動きが残り、崩れた動きを繰り返せば崩れた動きが残る。それだけです。
よく言う「変な癖がついてる」というのは、才能でも体質でもなくて、その動きを一番たくさん繰り返してきた結果です。だから僕らはトレーニングでそれを直しにいくわけですが——ここで、直しにいったはずが逆に癖を刻んでしまう場面があります。
インターバルを短くすると、悪い癖を練習することになる
それがインターバル(セット間の休憩)を短く取りすぎている時です。
回復していないのに次のセットに入ると、当然フォームが崩れます。狙った筋肉が出力を落として、別のところが肩代わりして、なんとなく回数だけこなす形になる。その崩れた動きを、脳はちゃんと覚えます。
癖を直すためにやっているのに、疲れた状態で回数を稼いだせいで新しい癖がつく。これでは本末転倒です。
じゃあ、インターバルはどれくらい取ればいい?
完全に回復したらでOKです。秒数で決めなくていいので、「同じフォームでもう1セットできる」と思えるまで待ってください。
時間がもったいないと感じる気持ちはよく分かります。休んでいる間は何もしていないように見えますからね。でも、休んでいる時間は、いいフォームを刻むための準備時間です。ちゃんと休んだ方が、結果的に早く進みます。
回復したかどうか、自分で分かりますか?
まず前提として、必要なインターバルはその日のコンディションで変わります。同じ人でも、寝不足の日と元気な日では違う。だから「この人は90秒」と決め打ちできるものではありません。
僕はセッション中、その人の疲れ具合・可動域・1セット目の感じを見て、その日の長さを決めています。可動域はその日の体の状態が正直に出るところで、いつもより出ていない日は回復にも時間がかかります。会話と息遣いも判断材料です。話し方がまだ途切れる、息が上がったまま——この状態で次に行くと、だいたいフォームが崩れます。
プロでも外します。答え合わせは「2セット目の1レップ目」
ただ、一番はっきり出るのはフォームです。正直に言うと、僕でも毎回一発で当たるわけではありません。2セット目に入った瞬間の動きを見て「あ、今のインターバル足りなかったな」と気づくことはあります。その時は次のセットから休憩を長く取り直します。そうやって、その日のその人に合う長さに寄せていきます。
だから一人でやる時も、同じことをすればいいだけです。2セット目の1レップ目を、自分で”答え合わせ”に使ってください。フォームが1セット目と違ったら、それは休憩が足りていない合図。次のセットから長く取ればいいだけで、その日が失敗になるわけではありません。
心肺機能が上がると、インターバルは自然と短くなる
ちなみに、心肺機能が強くなるとインターバルは短くて済むようになります。セットとセットの間の回復は、心臓と肺が酸素を運んで進めてくれる仕事だからです。
つまり順番が逆で、「短く休めるから強い」のではなく、「強くなった結果、短い休憩で足りるようになる」。今の自分に必要な休憩は、今の自分の体が決めています。人のインターバルに合わせる必要はありません。
【今日の結論】
・脳はいい動きも悪い動きも覚える。癖=繰り返した結果
・回復前に次のセットへ行くとフォームが崩れ、悪い癖を練習することになる
・インターバルは秒数でなく「同じフォームでできる」まで=完全に回復したらでOK
・必要な長さはその日のコンディションで変わる=秒数を固定しない
・判断は2セット目の1レップ目。フォームが変わったら休憩が足りなかった合図=次から長く取り直す
・心肺機能が上がれば、休憩は自然と短くて済むようになる
「脳を通った動きしか残らない」という話は、EMS(電気で筋肉を動かす機械)を例にすると一番分かりやすいです。なぜ楽して鍛えたものが身につかないのか、動画にまとめてあります。
身体は「筋肉」ではなく、物理現象として読み解く
これが「運動的IQ」です。どの動画・記事から見ても学べる”運動の教科書”を、数年かけて作っています。栃木県小山市のパーソナルジム PUTTERS では、機械や気合いに頼らず「自分で動いて、日常で使える体」を作る指導をしています。体験・ご相談はお気軽に。
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