腿裏(もも裏)を鍛えたいのに、効いている感じがしない。
パーソナルトレーニングの現場で、そういう方に最初にやってもらうのは、腿裏のトレーニングではありません。前もものトレーニングです。
腿裏の話なのに、なんで前もも?と思いますよね。この種目、僕は前ももを鍛えるためにやっていません。腿裏のためにやっています。理由は2つあります。
まず、しゃがんでみてください
読みながらできます。
立った状態から、片足を半歩だけ後ろに引きます。引いた足はかかとを上げて、つま先立ち。手は腰に置きます。
その位置から、真下にしゃがんでください。後ろの膝を床に近づけていく感じです。床にはつけなくていいです。
後ろに引いた方の前もも、伸び感はありますか? 感じる人と、感じ方が弱い人がいると思います。
次に、後ろの足をもう一歩、後ろに引いて、同じように真下にしゃがみます。さっきより、後ろの足の前ももが伸びませんか。これがランジスクワットです。
骨盤には、前傾と後傾があります
骨盤の前傾はお尻が上がっている状態、後傾はお尻が下がっている状態です。

さっきのランジスクワットは、骨盤の後傾でやる種目です。お尻が下がった状態ですね。
腿裏のトレーニングは、どっちでやるんですか?
前傾です。腿裏のトレーニングは、お尻が上がった状態でやる種目です。ここがこの記事の土台になります。
前ももの筋肉は4つ、1本だけ違う
前ももの筋肉を大腿四頭筋といいます。名前の通り、4つの筋肉でできています。大腿直筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋です。
実はこの4つのうち、1本だけ違う筋肉があります。大腿直筋です。

大腿直筋は、何が違うんですか?
大腿直筋は、股関節から膝まで繋がっています。他の3つの筋肉は股関節に繋がっていません。
そして大腿直筋だけが、骨盤を前傾にする特徴を持っています。
1個目の理由:腿裏が鍛えられない人は、前傾が苦手
腿裏が鍛えられない人は、骨盤を前傾にするのが苦手です。腿裏のトレーニングは前傾でやる種目なので、前傾が作れないと腿裏に入りません。
骨盤を前傾にする筋肉は何種類かいますが、そのうちの1つがこの大腿直筋です。ここを鍛えることで、前傾がしやすくなります。これが1個目の理由です。
2個目の理由:前傾と後傾は、引っ張り合いで決まる
前傾と後傾がどうやって起きているかというと、前に引っ張る筋肉と後ろに引っ張る筋肉がいて、勝った方に倒れます。筋肉の引っ張り合いです。

ランジスクワットで誰が引っ張り合っているかというと、前傾側が前ももの大腿直筋、後傾側が腿裏です。
数字にすると、どうなりますか?
0から100の数値にしてみます。初期位置では、前ももが50、腿裏が80。腿裏が勝っているので、骨盤は後傾です。

誤解がないように言っておくと、これはみなさんが力を出しているわけではありません。この種目のポジションだと、筋肉の構造的にそういう力が入っている、ということです。
この状態でしゃがむと、何もしなければ後ろに倒れます。だからバランスを取るために、前ももに30の力をかける必要があります。この30が、前もものトレーニングです。
しゃがむと、何が起きるんですか?
この種目の面白いところはここからです。しゃがんでいくと、前ももと腿裏の力が逆転します。
膝が床ギリギリのポジションでは、構造的に前ももが80、腿裏が40くらいに下がります。

ここで自分の力で腿裏に40入れないと、前ももに負荷がのりません。逆を言うと、前ももをつらくできている人は、腿裏に力を入れられています。
つまり、前もものトレーニングをしながら、気付かないうちに腿裏のトレーニングをしている。これが2個目の理由です。
前ももが辛いか、膝が辛いか
エラーを見ると分かりやすいです。ランジスクワットで前ももが辛くない人は、腿裏に力が入っていない可能性が高いです。その場合、負荷は膝に逃げることが多いです。
膝が痛くなったら、どうすればいいですか?
途中までは前ももに入っていたのに、途中から膝に入ってしまう。この場合も、膝に入った瞬間に腿裏の力が抜けた、ということです。
膝が痛くない範囲でやってください。膝が痛くないところが、その人の可動域です。膝が痛いという人は、もっと足を後ろに引いてみてください。
回数はどれくらいですか?
一日片足10回を1セットくらい。動作は速くやると負荷が抜けやすいので、ゆっくりやってください。
まとめ
この種目は、腿裏のトレーニングが苦手な人の入口の種目としてやることが多いです。
腿裏のトレーニングに必須な前傾の筋肉、つまり前ももの大腿直筋を鍛えられる。そして前ももを鍛えつつ、知らずに腿裏も鍛えられる。判断は前ももが辛いか、膝が辛いかです。
17,000セッションやってきた感覚ですが、腿裏が苦手な人でもこのランジスクワットを3ヶ月ぐらいやると、腿裏の感覚がわかってくる人が多いです。
「前ももを鍛えると張るから」と避けている方は、前ももの張りは揉んでも戻る|張らせているのはお尻の横を先に読んでください。前ももが張る理由は、前ももではない場所にあります。
スクワットで腿裏に効かない方は、スクワットでもも裏に効かない本当の理由も合わせてどうぞ。
動画で見る(実技つき)
ランジスクワットの実技、骨盤の前傾と後傾の図、引っ張り合いの数字の動きは動画で見られます。
身体は筋肉ではなく、物理現象として読み解く。これが「運動的IQ」です。身体の使い方を、どの動画から見ても学べる運動の教科書を、数年かけて作っています。
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