今夜7時から、鳥人間コンテストが放送されます。
13年前、僕はあそこに出ていました。芝浦工業大学のチームで、人力飛行機を作っていた側です。
担当は、飛行機の羽。それと、もう一つ。
飛行機を、滑走路で止める役目でした。
セスナが走る隣の滑走路を夜中に借りて、夜中に飛ばして止めて、飛ばしてを朝までやります。
そして、一回滑走路で飛ばしたら羽を全部壊すので、1から作り直し。本番まで毎週繰り返します。
雨でもやります。
人力飛行機にはブレーキがありません。だから走って追いついて、手で止める。足が速い人がやる仕事です。部活で一番速かったので、僕に回ってきました。
部費はありませんでした。だから男は琵琶湖のほとりで寝ました。人生で初めての野宿です。テレビで映っているあのきれいな湖の、映っていないところで雑魚寝していました。起きた時、湖で周り一帯に100人くらいが寝てるので、本当にあの世かと思いました。
僕が出たのは、その一度だけです。
チームの記録が出たのは、僕が抜けたあとでした。2017年、6625.68m。それまでの記録の2倍以上で、今もチームの最長飛行距離です。友達がまだ部に残っていた年でした。
同じ年に、僕らの部をモデルにした映画が公開されました。『トリガール!』です。劇中では雄飛工業大学という名前になっていますが、あれは僕らの部活です。
映画は青春として、きれいにまとまっています。僕が知っているのは、夜中の滑走路と、壊れた羽と、湖畔の野宿のほうでした。どちらも本当です。
今夜の放送、見ます。
芝浦のチームは今年も出ています。7月25日、2年ぶり11回目。大会で唯一の2人乗り機です。もう知っている顔は一人もいませんが、あの機体の中に、僕らが計算した何かがまだ残っているような気がしています。
野宿した学生が、今も琵琶湖のほとりにいると思うと、それだけでいい番組だなと思います。
応援よろしくお願いします。

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