「股関節が硬いから、柔らかくしたい」。ストレッチを続けているのに、なかなか開脚できるようにならない。
パーソナルトレーニングの現場で、よく聞く相談です。そして多くの方が「股関節は柔らかい方がいい」と考えています。
そこが違います。結論から言うと、股関節は動くための関節ではなく、支えるための関節です。だから欲しいのは、柔らかさではなく、ちゃんと支える筋肉です。
「コーチに股関節が硬いと言われた」
お客さんから言われた言葉をそのまま書きます。
「ゴルフのコーチから股関節が硬いって言われたから、柔らかくしたい」
コーチは対策を何と言っていたかを聞くと、股関節のストレッチがいい、と言われたそうです。私はこれを聞いて、結構怒りました。
そのお客さんは、柔らかくはありません。でも、可動域は十分足りていたからです。
柔らかければ、可動域がいいんじゃないんですか?
そう思いますよね。でも、柔らかいことと、可動域がいいことは別です。実は私、現場で「股関節が柔らかいですね」とは言いません。柔らかいことを、いいことだと思っていないからです。
股関節は、もともと可動域が狭い関節です
同じように、ぐるぐる回せる関節に肩があります。比べてみます。
- 脚を横に開くのは45度。肩は180度
- 脚を後ろに引くのは15度。肩は50度

全然違います。股関節は、最初から大きく動く作りになっていません。
なぜ、股関節は可動域が狭いんですか?
骨盤の受け皿が深くて、太ももの骨の頭をすっぽり包んでいるからです。体重を支える関節だからです。股関節が脱臼した、という話は肩よりずっと聞きませんよね。

つまり股関節は、動くためではなく、支えるための関節です。
開脚でベタッと開く人は、股関節が柔らかいんですか?
開脚で大きく開いて見えるのは、股関節だけではなく、骨盤や腰の動きが足されていることが多いです。
45度を超えて上がるのは、骨盤と腰が動いているから
立ったまま、脚を横に上げるトレーニングがあります。「この種目、全然上に上がりません」とよく言われます。
骨盤を固定させて横に上げると、45度くらいまでしか上がりません。これが股関節の本来の可動域です。45度以上に上げるには、骨盤の固定を外して、反動で上げるしかありません。

だから、可動域を超えて上がったのを「柔らかくていいですね」と褒めるのは間違いです。
もちろん、可動域を超えて体幹や腰も一緒に使うトレーニングもあります。ただ、基本は可動域の範囲内でトレーニングをすること。その基本がしっかりしている人が、次のステップとして応用に進まないと、怪我をする可能性があります。
柔らかさを基準にトレーニングすると、どうなりますか?
骨盤と腰が動きます。高く上がっていいね、という「柔らかい」を基準にすると、腰を痛めやすくなります。
しかも、トレーニングでついた癖は脳が覚えます。日常でも腰を使って動く生活になります。ここが腰痛の原因だったりします。
一つだけ補足すると、スポーツや日常で、股関節だけで動くことはありません。骨盤や腰を使っていいんです。トレーニングで、柔らかさを基準にしないでほしい、ということです。
コーチが見たものは、硬さではなかった
ゴルフのお客さんの話に戻ります。
おそらくコーチが見たのは、スイングで軸足で踏ん張って、股関節の筋肉で耐えなくてはいけない場面で、力を逃がして腰で動かしたところです。
それを外から見ると、股関節が硬いからそうしている、と見えます。でも内側から見ると、硬いのではなく、ちゃんと支える筋肉がない。
股関節が硬いと言われたら、ストレッチをすればいいですか?
ストレッチより、筋トレです。ストレッチで柔らかさを求めると、股関節の可動域を超えて、腰に逃がす練習になってしまうからです。
やり方|股関節で支える練習
- 何かに掴まって立つ
- 脚を横に上げる
- お尻の横あたりが辛ければ正解
家で10回1セットを、毎日やってみてください。
応用も一つだけ紹介します。何も掴まらずに、少しだけ体を横に倒して脚を横に上げると、さっきより高い所まで上がって見えます。でも、股関節の角度は変わっていません。これが、体幹や腰も一緒に使うトレーニングの一例です。
欲しいのは、柔らかさではなかった
股関節が硬いと言われた人、柔らかくしたいと思っている人をカウンセリングしてみると、本当に欲しいのは柔らかさではなく、ちゃんと支える筋肉だった、というケースが非常に多いです。
ストレッチより、股関節で支える練習をしてみてください。お尻の横を使う話は、前ももの張りは、揉んでも次の日に戻りますや、ワイドスクワットで開くのは、足首ではなく股関節でも解説しています。
動画で見る(実技つき)
肩と股関節の可動域の比較、骨盤の受け皿の図、45度の答え合わせ、支える練習の実技は動画で見られます。
身体は筋肉ではなく、物理現象として読み解く。これが「運動的IQ」です。身体の使い方を、どの動画から見ても学べる運動の教科書を、数年かけて作っています。
体験・お問い合わせはトレーニングジム PUTTERS(栃木県小山市)まで。

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